悪い看護とは何か、に対し一言で答えるとするならば患者に嫌われるような看護、あるいは施設側から嫌われる看護、ということになります。どんなに人当たりが良くても技術が伴わなければ雇い主には良い印象を与えないでしょうし、知識や技術一辺倒で態度が冷たければ患者側に嫌われてしまいます。
とは言え、そのどちらに対してもあまり神経質になり過ぎるのも良くないでしょう。特に新人、看護師を始めてから数年以内の人は自分の仕事に自信が持ち切れていないようです。インターネットで軽く検索するだけで、看護師としての仕事が上手くいかない、といった旨の質問や相談が某知恵袋であるとか看護師の支援サイトの掲示板であるとかで見つけられます。その書き込みのほとんどが「要領よく仕事ができなくて職場に迷惑を掛けてしまっている。自分にはこの仕事は向いていないかもしれない。」といった内容です。確かに、職場に迷惑を掛けてしまうというのはあまり心地よい経験ではありません。医療という、人の命に何かしらの形で関わる現場ともなればちょっとしたミスが大事故に繋がることもあるわけですから、ミスに対して周りの目が厳しくなってしまうのも当然と言えば当然の話です。
しかし、だからと言ってそのミスを理由に自信を失くし、離職してしまうようでは現場の負担はますます大きくなり、それが新たなミスを生み出してしまうかもしれません。そしてミスはさらなる離職を生み、さらなる看護師不足に繋がってしまうのではないでしょうか。というのは若干壮大すぎるかもしませんが、なんにせよ「気にしすぎ」な面は多々あると思います。よく見かける相談は先にも述べたとおり、「要領が悪く迷惑ばかりかけている、辛い」とかそういうものです。なんでもかんでも他人のせいにするのも考え物ですが、なんでも背負ってしまうのも問題です。
自己嫌悪に陥ってしまうタイプの人がなりがちなこととして、結局沢山の仕事を抱えたまま何もできていないということです。押しつぶされそうになってネットで励ましてもらうくらいなら、先に同僚なり先輩なりに相談して解決策を練る方が結果的に迷惑はかかりません。「仕事が溜まってしまい、それを上司に言い出せません」では夏休みの宿題と変わりません。周りの人も新人であったり、まだ勤務し始めて日が浅い人がなんでも出来るとは思ってはいないでしょうが、何も聞かれないとどうしようもありません。わざわざ時間を割いて気にかけてくれる人はよほど良い人です。まずは仲の良い人にでも、ネット経由ではなく直接相談してみるべきなのかもしれません。
現代医療の在り方